剪除法の目的や手術方法

剪除法(せんじょほう)はワキガ改善手術の方法の1つです。

 

ワキガの原因となるアポクリン腺は、ワキの下の腋窩筋膜(えきかきんまく)の部分に分布しています。通常、アポクリン腺の層は2mm程度しかありませんが、ワキガの人はかなり分厚くなっており、5mm以上の層になっていることもあります。そのためアポクリン腺の汗の量も多く、きついワキガ臭を発してしまうことになります。そのアポクリン腺の層を取り除くのが剪除法の目的となります。

 

ワキの下にはアポクリン腺だけがあるわけではなく、エクリン腺も混在しています。そのため、剪除法の手術を行うと、エクリン腺も一定数除去することになります。その結果、ワキガだけでなく、多汗症も治ってしまうこともあるようです。

 

剪除法の手術方法とは

ワキガの手術方法はいろいろあります。下記のページで詳しく説明していますので、ご一読ください。

 

>>ワキガ手術の種類まとめ|費用や保険適用

 

その中でもっともメジャーであり、多くの医院で施術が受けられるのが「剪除法」となります。

 

剪除法の手順ですが、まずわき毛をすべて剃り落とします。その後、ワキの下を局所麻酔し、わき毛の生えていた部分を2か所切開します。そして、専門の手術器具を挿入して皮膚を開き内部を露出させます。

 

するとアポクリン腺の層が見えるので、はさみで切り離して除去するのです。出血はそれほどしないですが、毛細血管から出血がある場合は電気メスなどで止血を行います。あとは切開部分を縫合して手術自体は終了となります。

 

あとは止血のケアとして、ガーゼを丸めたものをわきの下に押し込んで、「ドレッシング」と呼ばれるテーピングで固定します。

 

ここまでで剪除法の手術自体は完了で、かかる時間は30分~1時間ほどです。

 

剪除法の消臭効果はどのくらい?

剪除法によってワキガの臭いは改善しますが、完全に消えるわけではありません。もともとのワキガ臭を100とすると、80程度消臭されて、20は残るというイメージです。

 

なぜ完全に消臭できないかというと、剪除法の手術でアポクリン腺を除去する際、全ての組織を除去することはできないからです。もし組織をすべて取ってしまうと、皮膚が壊死したり、傷跡が治らなかったりします。なので、皮膚を維持できる範囲で皮下組織を残す必要があるのです。その結果、どうしても一部のアポクリン腺は残ってしまい、臭いも出てしまうのです。

 

ただ、ワキガでない人にもアポクリン腺はあるわけで、そのレベルにまで引き下げられることになります。なので、20の臭いが残ると言っても、それは一般人レベルの臭いにまで下げられるという意味でもあるのです。したがって、「剪除法がうまくいけば、ワキガは完治する」と言ってもさしつかえはないでしょう。もしどうしても残った臭いが気になるようなら、デオドラントケアを行っていけばよいだけです。

 

剪除法のダウンタイムや傷跡の回復はどのくらいかかる?

 

まず剪除法のダウンタイム(傷跡がふさがって違和感なく腕を動かせるようになるまでの時間)ですが、おおむね1週間程度と言われています。スポーツをする場合、軽い運動なら術後2~3日で可能となり、1週間~10日もすれば今まで通り腕を動かすことができるようになるはずです。

 

ただ、問題は傷跡そのものが消えるかどうかです。結論から言うと、傷跡を全く残さないようにすることは困難です。1年以上経っても、どうしても「よく見ればわかる」程度の傷跡は残ることが多いようです。ただし、剪除法の切開はわき毛の生えているシワの部分で行われるので、縫い合わせた後はかなり目立ちにくい形にはなります。またシワの部分のため腕を動かしても傷が開きにくく、治りが早いというメリットもあります。

 

また剪除法の手術の場合、術後にまたわき毛が生えてくるので、わき毛を気にしない男性の場合は術後の傷跡はほとんど見えないでしょう。女性の場合はむしろまたわき毛が生えてくるのが不都合かもしれませんが…。

 

手術後どのような制限がある?

剪除法手術後のダウンタイムは1週間~10日程度となりますが、その間は動作にかなり制限がかけられ、とくにワキを動かす動作は絶対禁止です。重い荷物を持つことは避けなければいけませんし、できれば1キロ程度の買い物袋を持つのもやめておいたほうがいいでしょう。

 

また、自転車や自動車の運転は、こちらがいくら注意していても、どうしても急な動作が必要になることがあります。その際に傷口が開いてしまった・・・なんてことは十分に考えられるので、運転のたぐいはNGです。

 

そのため、食べたり寝たりといった動作なら問題ありませんが、腕を動かす作業が必要な仕事などは控えたほうがいいでしょう。デスクワークであれば、なるべく腕を動かさないように意識していれば仕事自体は可能です。

 

どうしてここまでの動作制限をするかというと、傷口が開いたりすることによってさまざまな合併症が起こる可能性があるからです。

 

血腫 ドレッシングが外れて出血し、血の塊が皮膚の下にできる。また、リンパ液・組織液が漏れだして腫れる「漿液腫(しょうえきしゅ)」を起こすこともあります。
細菌感染 傷口から細菌が感染して膿になってしまうことです。術後に処方される抗生物質を飲まなかったり、術後すぐにお風呂に入ったりしても発生することがあります。
引きつり 手術した部分の皮膚がうまく治らず、ひきつった状態になって、それが長く続く恐れがあります。

 

いずれも傷口が開いたりすることで起こり得る合併症なので、最低限でも剪除法後のダウンタイムの間、余裕を持つなら2週間程度はしっかりとドレッシングの状態で固定し、運動は控えておいたほうがいいでしょう。

 

剪除法は両わき一気に手術する?

剪除法の手術は両方のワキ同時にするのか、それとも片方ずつするのか気になる人もいるでしょう。実は、これはどちらもありえます。

 

すでに書いた通り、剪除法のダウンタイムは1週間~10日程度となるので、両方同時に剪除法を行う場合は両方のワキを固定する必要があります。つまり、その間は荷物の持ち運びなどの作業は誰かに代行してもらう必要があります。なので、もし奥さん(旦那さん)が身の回りの世話を手伝ってくれる環境なら、まとめて両方のワキの手術を済ませてしまってもよいでしょう。

 

ただし、身の回りの世話を頼める人がいないなら、片方ずつ手術を行って、どちらかの腕は使える状態にしておいたほうがいいです。ダウンタイム後すぐに次の腕を手術してしまうと万が一治りきっていなかったときに困るので、片方のワキを手術したら、次のワキの手術は1カ月以上開けるのが一般的です。

 

なお、片方ずつ手術する場合は、利き腕ではないほうのワキから手術するのが基本です。「片方の腕が動かせない」という経験は初めての人が多いので、まずは利き腕を動かせる状態で動作制限を体験したほうがよいという配慮からです。

 

運動はいつから始めてもいいの?

基本的には、ダウンタイム後はたいていの軽い運動は解禁しても大丈夫です。ただし、試合や重労働などの重い運動に関してはダウンタイム後1週間程度、つまり術後2週間程度は様子を見て避けておいたほうがいいでしょう。

 

剪除法まとめ

剪除法についてまとめます。

 

まず効果についてですが、アポクリン腺をすべて除去するわけではないので、完全に消臭できるわけではありません。ただ、一般人レベルの臭いに抑えることができ、普通の人は気づかないくらいの臭いにまで落とすことが可能です。

 

ダウンタイムについては1週間~10日程度となり、とくに術後1~3日程度はちょっとした荷物の持ち運び程度の運動もNGとなります。それはさまざまな合併症が心配されるからです。

 

ただし、ダウンタイム後は軽い運動ならOKですし、2週間も経過すれば今まで通りの作業や運動が可能となります。


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